北陸の地震を受け、グレーゾーンの建物を救いたい

2024年6月19日
1981年(昭和56年)6月~2000年(平成12年)5月までに建築された「なんちゃって新耐震」の建物にお住まいの方への「住まいの健康診断」を弊社独自に拡充します。(条件付き)

 〈能登半島地震を受けて〉ー 木造住宅の被害状況 ー

本年元旦に起きた能登半島地震や2016年(平成28年)に起きた熊本地震では、倒壊も含め大きな被害を受けた建物が多数あります。その建物は、1981年(昭和56年)以前建築された「旧耐震基準」の建物はもちろんですが、それ以降に建築された「新耐震基準」の建物も大きく被害を受けています。

国は1995年(平成7年)に起きた阪神淡路大震災による被害データをもって、「新耐震の建物は概ね耐震性を有する」としています。確かに、「旧耐震」と「新耐震」の被害を比較したときには、そう言えるかもしれませんが、割合においてはそうであるということだけであり、「新耐震」は被害がないとか安全である・・・と言うことではない事実がこれらの地震で明らかになりました。

 

〈なんちゃって新耐震〉ー 新耐震でもこれだけ違う ー

グレーゾーンの建物というのは、1981年(昭和56年)~2000年(平成12年)の間に建築された木造住宅は「新耐震」と言えども、今現在の耐震基準とは異なる基準で設計・建築されています。(耐力壁のバランス・柱・梁・土台・筋交い等の接合部分の金物基準が現行基準と異なります。)

私たちはこの時期の新耐震基準をあえて「なんちゃって新耐震」と呼び、安全性に対して警鐘を鳴らします。

熊本地震以降も、国の建築物耐震改修促進計画に変更はなく、行政が行っている耐震診断の無料対象とするものは「旧耐震」の建物に限られているのです。

この区分が「新耐震」は安全だという誤解を生じさせ、耐震性を疑わないことに繋がっていないでしょうか。さらに補助金が関わる施策の場合、その基準が当てはまらない人にどのような意味を持つのか明確な見解は示されていません。

 

〈安城市での耐震診断の状況〉ー 次に向かうのはどこ? ー

今まで振り返ってみると耐震診断は、2002年度(平成14年度)以降、1981年(昭和56年)以前に建った木造住宅の耐震診断を行政と建築士会が協力して行ってきましたが、年々数が減少傾向にあります。最大値は、2005年(平成17年)で1500件以上あったのが年々減少、東日本大震災の2011年(平成23年)には一時的に盛り返しましたが、ここ最近は30件前後になっています。

ただ、今年度安城市の耐震診断申し込みは4月~12月で17件と月平均1.9件であったが、能登半島地震以降の1月だけで10件と5倍も増えています。また、今回今までになかった「新耐震」の建物に住む方からも安城市に耐震診断の相談・依頼が来ています。このことは心配されている人々が確実にいるが、「なんちゃって新耐震」の建物には、手がおよんでいないのです。

 

〈住まいの健康診断〉

皆様は人間ドック・健康診断を年に一度は受けられているのではないでしょうか。今現在自分の身体はどうなのか、悪いところは早く見つけて対処するのは当たり前ですよね。人間同様に住まいも健康診断が必要です。省エネ・バリアフリー・シックハウス等いろいろな観点が考えられますが、まずは構造の安全性・家の強さを診断しましょう。